マンション駐輪場で自転車が入らない課題への対応策と解決事例
- 建材事業部 マーケティングG
- 8月26日
- 読了時間: 6分
近年、自転車の多様化や大型化により、従来の駐輪スペースでは対応しきれないケースが増えています。特にファミリー向けの電動アシスト自転車や子ども乗せタイプなどは、標準サイズのラックに収まりきらず、駐輪場の混雑やトラブルの原因となることもあります。
本記事では、こうした課題に対する具体的な対応策と、実際に改善されたマンション改修での課題解決事例を紹介します。
マンション駐輪場で自転車が入らないという声が増えている理由とは?

マンション駐輪場で「自転車が入らない」という声が増えている背景には、自転車の種類やサイズの多様化があります。
特に電動アシスト自転車や子供乗せ自転車などの重量のある自転車、または、強固な太いタイヤを備えたスポーツタイプの自転車が普及し、従来の一般的な自転車向けに設計された自転車ラックでは対応できないケースが増えています。
結果として、駐輪が困難になり、住民の不満やトラブルの原因となっているのです。そのためマンション管理組合には駐輪場設備の見直しが求められています。
そもそも自転車が入らないとはどういう状態?
まずは、「自転車が入らない」という言葉について整理します。大きく分けて2種類に分けられます。
自転車ラックに自転車を駐輪することが出来ない
自転車ラックとは、自転車の前輪や後輪を差し込んで固定することで倒れにくくして、自転車を安全かつ整然と停めるための設備です。
まず、この自転車ラックに、タイヤ幅が太い、あるいは、タイヤが大きすぎて、差し込めないことがあります。次に、自転車ラックの幅が狭く、隣の自転車とぶつかって入らないことがあります。そして、二段式やスライド式の自転車ラックに乗せた場合に、重量が重くてうまく収納できないということがあります。
駐輪スペース内に自転車を駐輪することが出来ない
こちらについては、そもそも駐輪スペースが自転車の駐輪台数に対して狭いことが主な理由ですが、上記の自転車ラックに自転車が入らないことで止められないケースもあります。
今回の記事では、おもに前者で説明しますが、後者も解決する場合もあります。
駐輪場に自転車が入らない原因とは?

まずは、なぜ駐輪場の自転車自転車ラックにタイヤが入らないということが起こるのか、その原因を説明します。
駐輪場設備の設計が旧式で、現代の自転車に対応していない
多くのマンションでは、駐輪場の設備が建設当初のまま使われており、当時主流だった細身のシティサイクルを前提に設計されています。
しかし、現在では電動アシスト自転車や太いタイヤを持つスポーツタイプの自転車が増えており、旧式のラックではこれらの自転車が物理的に収まらなかったり、無理やり入れてもラックが壊れそう、などということがあります。
設置業者の仕様選定ミス
新築や改修時に駐輪場設備を導入する際、設置業者が最新の自転車事情を十分に考慮せず、汎用性の低いラックを選定してしまうことがあります。
結果として、住民のニーズに合わない設備が設置され、利用者からの不満が生じる原因となっています。
マンション駐輪場の設備更新の遅れ
設備の老朽化やマンション住民の駐輪場利用状況の変化に対して、迅速に設備を更新できていないケースも見受けられます。
その理由として、予算や合意形成の難しさから、駐輪場の改善が後回しにされることが多く、結果として住民の不便が長期化してしまうのです。
マンション管理組合が出来る対応策
それでは、具体的に管理組合がマンション駐輪場のタイヤが入らないという課題に対して出来る対応をご説明します。
1. 現状調査
まずは、駐輪場の利用実態を正確に把握することが重要です。
住民に対してアンケートを実施し、使用している自転車の種類やサイズ、駐輪時の不便さなどをヒアリングします。
また、現地での実地調査を行い、実際にラックに収まらない自転車の割合や、混雑状況などを確認することで、問題の全体像を明らかにできます。
2. 設備の見直し
調査結果をもとに、駐輪場設備の見直しを検討します。
具体的には、太いタイヤや電動アシスト自転車に対応した幅広タイプのラックレールの製品への交換や、タイヤを挟まないフラット型の駐輪スペースの導入が有効です。
また、子供乗せ自転車や高齢者向けの低位置ラック、電動自転車用の充電設備付きスペースなど、利用者層に応じた多様な設備を導入することで、利便性と満足度の向上が期待できます。
3. コストと予算の検討
設備の更新には一定の費用がかかるため、管理組合としては予算の確保が課題となります。
まずは改修にかかる概算費用を業者に見積もってもらい、必要に応じて段階的な導入を検討します。
また、自治体によっては駐輪場整備に対する補助金制度が用意されている場合もあるため、そうした制度の活用も視野に入れるとよいでしょう。住民への説明責任を果たしながら、合意形成を図ることが成功の鍵となります。
駐輪場のタイヤが入らない課題の解決事例
鋼鈑商事が行ったマンション駐輪場改修工事でも、自転車ラックに自転車が入らないという課題を解決した事例がありますのでご紹介します。
解決事例1. 子乗せ三人乗り自転車が入らない二段式ラックへの対応

本事例では二段式ラックの更新に伴う駐輪台数の確保が課題でしたが、子乗せ三人乗り自転車への対応が課題でした。
各居住者様へアンケートを取り、将来(5年後)必要となる台数を想定いただくとのと平行して、垂直昇降式ラックとスライド式ラックを導入した場合の最大数をシミュレーションし、マンション管理組合の理事会様と協議を重ねました。
頑丈な前輪ラックを設置する区画と一般の自転車を注利する二段式ラックの区画を作ることで対応して、子乗せ三人乗り自転車への対応と必要台数確保を両立しました。
解決事例2. 電動アシスト付き自転車で破損したラックへの対応

本事例では、当初二段式ラックの上段ラック撤去のみを実施して、既存の自転車ラックの使い勝手を良くするという内容でお話をいただきましたが、電動付きアシスト自転車を駐輪しており、自転車ラックが自転車の重さに耐えきれず使用できなくなっていることが確認できました。
アンケートや協議の結果、二段式ラックの上段を使いたくない意向が強くあり、上段を使わずに堅牢で錆に強い前輪ラックを提案して、電動アシスト付き自転車へも対応できました。
まとめ
電動アシスト自転車や太いタイヤのスポーツタイプなど、多様な自転車が普及する中で、マンションの駐輪場設備がそれに対応できていないという問題が顕在化しています。特に旧式のラックでは、タイヤが入らなかったり、重量オーバーで駐輪できないケースが増え、住民からの不満が高まっています。
この問題の背景には、設備設計の古さ、設置業者の仕様選定ミス、そして管理組合による設備更新の遅れがあります。管理組合としては、まず現状調査を行い、住民のニーズを把握した上で、対応可能な設備への見直しを進めることが求められます。さらに、改修にかかる費用や補助金制度の活用も含め、計画的な改善が重要です。